●士魂商才
こんにちは、深谷市下手計出身、理学療法士の尾高です。
渋沢栄一は、士魂商才ということを提唱しています。
「論語と算盤」には、こう記されています。
「士魂商才というのも同様の意義で、人間の世の中に立つには、武士的精神の必要であることは無論であるが、しかし、武士的精神のみに偏して商才というものがなければ、経済の上から自滅を招くようになる。ゆえに士魂にして商才がなければならぬ。」
武士的精神とは、嘘をつかない、卑怯なまねはしない、誠実に行動する、裏表のあることをしない、こびへつらわない、礼をわきまえる、自慢しない、傲慢にならない、おごり高ぶらない、慈悲深い、義理堅い、恩に報いる、というような、武士の持つべき高い道徳観のことでしょう。
人間の世に立つには、「士魂にして商才がなければならぬ」
現代の日本に生きる我々は、商才を求めすぎるきらいがありはしないでしょうか。
人はつい、私利私欲に走ってしまい、中には社会のルールを踏み外してしまう人もいますが、そこは、高い道徳心を持って、自ら戒めねばならないことです。
「論語と算盤」では、その後、論語が士魂の養成の根底となることが述べられ、
「それならば商才はどうかというに、商才も論語において充分養えるというのである。」
とあり、
商才も、もともと道徳を根底としたものであって、道徳と離れた商才は、決して真の商才ではないと断じて、
「ゆえに商才は道徳と離るべからざるものとすれば、道徳の書たる論語によって養える訳である。」
と士魂を養うにも、商才を養うにも、道徳が根底であると強調しています。
偽の商才は、身につけたくないものですね。
理学療法士の士は、武士の士、さむらいの士です。
理学療法士として、論語を学び続け、士魂を忘れずに、活動したいと、身を引き締めた次第です。
渋沢栄一肖像画は、国立国会図書館ウェブサイトより転載いたしました。